COLUMN

MOOVIN' JAPANESE 〜揺れ動く日本語たち

 2    〜まみれ(1) (受難表現の前向き用法)
更新日時:
2022/08/03
 
老舗の雑誌、週刊朝日では、毎年12月20日前後の号を一冊まるごと猫特集にする。ネコ好きの我が家では必ず購入する。付録のネコカレンダーをトイレに貼るのがルーティンだ。
2021年のキャッチコピーが「ねこまみれ」だということに気づいた。「まみれ」は元々、油まみれ、泥まみれのように何かの被害にあったときに使われる言葉だ。それが受難ではなく「まみれて陶酔する」かのように使うのが近年の新しい傾向である。
 
「まみれ」は「まみれる」(下一段活用の自動詞)の連用形中止法による名詞化だが、本来の動詞としての使用は限定される。
つまり、
・必死の盗塁後、瑛太くんのユニフォームは砂にまみれていた
というような使い方がほとんどで、
・まみれ(ない)(未然形)、まみれる(連用形)、まみれれ(ば)(仮定形)、まみれ(ろ)(命令形)
という活用はほとんど使用されない不思議な動詞である。
わずかに、
 ・泥にまみれる瑛太くんのユニフォーム姿が印象的だった。
 
というような連体形の使用が見られる。
 
 
 
 



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