2006年頃から、「女子」という言葉が目につくようになった。
リクルートが発行しているフリーペーパー、L25誌上で主に働く若い独身女性を「女子」と呼び出したのが発端かと思う。
元々はこの女子という言葉、学校における性別呼称で馴染みが深く、「先生!男子が廊下を
走って困ります!」「副委員長は女子から出してください!」などの表現は誰もが懐かしく
思うであろう。
「ヒト」を指す包括的な性別表現は「男、女」、「男性、女性」、「紳士、婦人」があり、年齢、特性を限定した表現には「男の子、女の子」、「おじさん、おばさん」、「おやじ、おば(さ)ん」、「(非道徳的恋愛対象の)おとこ、おんな」などがある。
この中で、「女の子」は児童を指す本来の意味とは別に職場で男性社員(=総合職)が一般女性社員(=一般職)を呼ぶ時の呼称として長い間大手を振ってきた。
「その書類は女のコに届けさせます。」などと使われてきたが、給茶機やオフィスでの通信機器、、コンピュータの普及、さらには男女雇用均等法の施行も手伝って、かなり廃れたようだ。
印象の悪い表現である。
筆者が会社に入った1970年代半ばの頃、この言葉は多く使われていたが、自分では在職中
決して口にしなかったものだ。
「男子、女子」は本来、包括的用語のようだが、実際は特定の意味合い、それも学校組織における性別表現の意味合いが強かった。
それが、「女子」は社会人になってからの呼称として意味の拡張が行われたことになる。
また、この表現は互いの性差について相手側からの呼びかけや対立に使われることが多いが、最近の「女子」の場合は女性が自らを「女子」と呼ぶ。
社会人になっても、常に「仲良しグループ」を結成していて、トイレにも一緒に行きたい
という女性特有の意識が自らを「女子」と呼ぶ。これは40歳になっても、50歳になっても
知り合いを「あのコ」と呼ぶ女性一般の「標準語」と無縁ではなかろう。
2009年頃から、さらに女性だけの小規模宴会のことを「女子会」と呼ぶようになり、飲食業界の宣伝手法のひとつとなってきた。男性は宴会には「おんな」がひとりでも必要と思いがちだが、女性は「女子の、女子による、女子のための」に加えて、「女子だけの」の宴会が和むらしい。
男性の場合は、ひとりでも、どんな女性でも(失礼!)、女性が入った宴会が好きなものだが。。。
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