類似した内容を総称するときに使う「〜系」「系〜」という言葉がある。
系譜、家系、系列、文科系・理科系。。。などの使い方がある。
「系譜」は性質の共通点以外に変遷の経緯も合わせて物事を分析するときに使う。「家系」の場合はさらに戸籍制度が加味されている。「系列」は企業の資本関係で多く使われ、一時期「KEIRETSU」がそのまま欧米のジャーナリストに使われるようになったとして話題になった。
大学受験でおなじみの「文科系、理科系」。。。。近年は環境、情報、国際など新手(あらて)の学際学部が増え、使いづらいこともある言葉になってきた。
そして2000年代に入ってからは「草食系」がある。ところが、この草食系の場合、前述の言葉とは違った使い方のような感じがする。
筆者が最初にこの「系」の言葉を覚えたのは小学校低学年の頃であった。当時量産開始された新性能電車の形式を国鉄(現在のJR)が101系と称したのだ。モハ100、101、クハ101、サハ101(*)を総称して101系と言ったのだ。この言葉を覚えたのは、筆者がいわゆる鉄ちゃん(鉄道趣味者)だったからに他ならない。普通の子供が系の言葉を覚えるのは理科で習う「太陽系」からだろう。その後、主に人の属性を流行事象のように分類するときに週刊SPAなどが「〜系」と言い始めた。
そもそも、この「系」の感じはふたつの糸を「つなぐ」という意味だ。「家系」、「系列」などの言葉の意味を考えると納得が行く。今年の震災後、目立って使われるようになった「絆」
も一見似ているがこの漢字は「馬や牛などをつなぐ糸」なので、意味が違う。「系」はあくまでも時間的、本質的につないだものを表す。
ところが、「草食系」の場合はあきらかに違った使い方である。(つづく)
注(*)モハ、クハ、サハ・・・電車の形式に使われる符号。運転制御や電動機の有無によっ
て分類する。
参考文献 ・・・1974「新和英辞典」研究社
1986「漢字の語源」角川書店
1993「角川大字源」角川書店
|