「アラサー」
素晴らしい新語である。初めて使った人に敬意を表する。
語呂もよい。
古くからの日本語には似た意味の「三十路(みそじ)」があったが、「アラサー」は年齢の大台到達をポジティヴにとらえて、女性としてのキャリアアップ的な表現に使われることが多い。さらに「ジャスト30」だけでなく、対象を前後の年齢に若干拡大し、ファッション、飲食、教育講座などの関連業界の活性化を促す。
ところで、この「アラサー」、略語としては理想的な形態に近いため、語感がよい。
表記は「アラサー」だが、発音は[a-ra-sa-a」であり、分析すると、長さは2モーラ(*)(拍)+2モーラで、、「ドリカム」や「ケータイ」と同じである。
また全ての音節の母音が[a]であることにより、発音しやすく、明るい響きがする。
ところで、周知のようにこの言葉は「アラウンド・サーティ」(around thirty)を日本人的に短縮した言葉であるが、英語では、今後もそのようには略さないであろう。native speakerがアラサー、つまり[a-ra-θз:]などと発音するのは無理があると思われるからである。
なぜなら、例えばI am around thirtyを省略しようとするときに、thirtyの発音の途中で[θз:]と舌を噛んだ状態で発声を止めると、落ち着かないのではないかと思うのだ。
ジャズには「AROUND MIDNIGHT」という名曲があり、時には「'ROUND MIDNIGHT」
と表記されることが多い。'roundの[d]の部分は聞こえるか聞こえないかだろうが、ネイティヴさんがaround thirtyを省略しようとすると、せいぜい[raun-θз:ti]なのではないかと思う。
もちろん、これはネイティヴさんの気持ちがよくわからない私の勝手な推測だが。
(*)モーラ・・・言語学で用いられる単位
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