2010/06/03
元々はアウトローな方々の隠語だったのが、確か1960年代に一般化したもの。
手許の広辞林(1958,三省堂)には「官憲の手配がきびしく危険である(隠語)」とあり、この頃にはまだ戦前社会の残滓が見られる。
例えば、「あのセンコーの授業は予習していかないとヤバイ」などというのは教師=官憲と見立てた用語であろう。このように一般市民用語化された後も「(規則、規範などに反して)まずい」意味で使われてきた。
ところが、2005年頃から若者の間で意味が転移し、むしろ肯定的な用法が目立ってきた。
用法1:
(女装コンテスト出場の男性を見て)「特に 眼と脚がヤバイ」(TV.「笑っていいとも」よ り)
・・・・・「予想以上の高い評価」を表現す
る。これほどまでに女性っぽいとは意外 だ。素晴らしいということだ。
用法2:
(街を探訪して、旨い店を見つけて)
「****の串焼きがヤバイ!」
・・・・・一般人ブログなどでの使用例多 数。これは(今までこの店を発見できな
かった)自分がヤバイという意識を表し ている。
用法3:
「ヤバイ、スゴイ、こんなループ」
(SOUND &RECORDING
MAGAZINE,リットーミュージックより)
・・・・・・ループとはハウス系音楽に使用
するためのリズムやフレーズの繰り返し
である。
これは用法2と似ているのだが、用法2が
書き手の内省的な想いに重点を置いて
いるのに比べ、こちらは初めて公衆に披 露するときの先端者との先取り意識〜つ まり、「おまえらは知らんだろ意識」に立
脚している。
お勧めの店、テクニック、ファッションなど の紹介に多用される。
この三用法に見られるように、つまり、
「ヤバイ」が肯定的な意味に転化したと
言っても、それには否定的な意味の裏打 ちがあるのだ。
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